生成発展 テクノロジーで変革する中小企業の未来

「想像以上にITでできることは多い」
経営危機を脱した、アナログ社長のIT導入ストーリー

 

―― アプリで起死回生に向けて  “アナログ社長”がDXに挑む

人間の性格を4つに分類して、円滑なコミュニケーションをサポートするクラウド型アプリ『伝え方ラボ』が、話題を集めている。テレビの情報番組やニュースでも、これまでに何度も紹介された。中小企業は国の補助金を受けて導入できるため、社内の連携強化などに役立てようという会社が増えている。

アプリを開発したのは、富山市に本社を置くジェイ・バンの代表取締役、稲場真由美さん。自らの経験や統計データを基に「性格統計学」を提唱し、自分と相手のタイプによって適切なコミュニケーションを体系化。企業向け研修や職場環境のコンサルティングなどを行っており、稲場さんはこのように説明する。

「部下をほめるにしても、オーバーにほめられるのがうれしい人もいれば、具体的にほめられると喜ぶ人もいて、一辺倒なほめ方では相手に届きません。社外でも、お客様に2時間いただく場合には、最初に2時間の段取りをしっかり説明した方がいい人。ワクワクさせることから話していった方がいい人。まず背景や経緯を話した方が安心するという人。それぞれのお客様に合った対応が求められます」

ユーザーの性格に基づき対人関係をアドバイスする『伝え方ラボ』は、稲場さんのこれまでのノウハウを結集した、社運をかけたアプリだった。ジェイ・バンのこれまでの収益モデルは、単発の研修やセミナーが中心という不安定な構造。アプリによってサブスクリプション(定額)の収益が見込めるほか、従来の研修などの事業にもアプリを組み合わせることで効果を高め、ビジネスモデルを大きく変えることができるのだ。

ところが、アプリのリリースと時を同じくして、開発の遅れなどによって同社は危機に直面する。2018年初頭にオフィスを自宅に移し、稲場さん一人での経営に縮小せざるをえない状況。不慣れな事務業務などは社外に委託し、稲場さんは「新しいアプリを世に広めること」「経営の危機を脱すること」という2つの重大なテーマと向き合った。

自らを“超アナログ人間”と称する稲場さんが、本格的にDX(デジタルトランスフォーメーション)への挑戦を決意したのは、小さなきっかけだった。性格統計学では、自身の直感を重んじて臨機応変に対応する「ビジョン」のタイプでもある彼女。その直感が、同社の抱える2つの課題を解決へと導く道しるべになっていったのだ。

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